渋谷duoはMAXでも1000人しか入らないハコである。
しかも、この日は多めに見積もっても300〜400人くらいの入り。
今日の主役は数万人集まろうと、一向にたじろぐことはないだろうが、
数万でも300でも全く変わらないテンションで登場した。
現在、世界で最も重要なバンドと言われる「Radiohead」
そのドラマーであるフィルがソロをやると聞いたときに「?」と思っていた。
ジョニーではなく、フィル・・・なのだ。
きっかけは一本のEメール。
in Rainbows からRadiohead絡みのメールは受信許可に入っていたので
発表と同時にフィルのソロとフリーダウンロードの曲が手に入ったのだ。
1曲だけでチケットを購入して、会社帰りにduoに来てしまった。
フィルはいかにも英国風の上品な白いベストを着こんで登場し、
ゆるやかに、アコギを抱えて歌いだした。
その歌声は・・・上手い。上手すぎる。ホントにドラマーか?
デビュー当時のトムを髣髴とさせるその歌声。
ドラマーにはナイスガイが多いと言うが、フィルもごたぶんに漏れず
すごく人当たりが良く、上品な人だった。
バックバンドに電子ドラムと鉄琴、ジャズ用のウッドベース、胡弓やアコーディオン。
不思議なアコースティックバンドだ。
フィルはアコギを2、3本で回していたが、時には馬の弓を使って鉄琴を弾いたりしている。
この辺の音使いはKidA以降のRadioheadの音作りに通じていると思う。
ギターの腕前は、なんとかプロ並というレベルだが、ボーカルはただ事ではない。
トムがいない時のリハはフィルがやっているのではないかと思わせるほどである。
惜しむらくはバリエーションの乏しさだ。
全体的に同じようなテンションの曲が多く、所々で単調になってしまった。
音源をLIVE会場で買う予定だったので予備知識がゼロだったが、
やっぱりフィルがドラムを叩いた瞬間は鳥肌が立った。
よく見かける「みんなでドラムを叩く」光景だが、逆向きのドラムを叩くフィルの腕は
メトロノームのように正確で、それだけで本職のドラミングが世界トップレベルのものだと伺える。
訪れたオーディエンスもマニアックな通好みの連中ばかりで
パフォーマンスが優れた曲には明らかに拍手の量が違う。
アンコールもサクッとやった感じだったが、何気に90分以上しっかりと演奏していた。
ブラリと渋谷に行って、このクオリティのLIVEが見れれば大満足。
また来てほしい。
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